視神経に起こる眼の病気

視神経の病気としては、若い女性に発生する多発性硬化症という病気に関連して起こる球後視神経炎という病気があります。多発性硬化症は脱髄性疾患という分類に含まれ、神経を取り囲んでいる髄鞘という組織が脱落していく病気の一つです。

この病気の特徴的な所見として、視神経炎があります。片眼の急速な視力低下を来しますが、炎症であるためしばらく日数が経過するともとに戻ります。

このような増悪と寛解を繰り返すのも多発性硬化症の特徴です。視神経の他、脳や脊髄内に病変が見られるため、CTやMRIでの検索が必要となります。治療は、ステロイドで炎症を沈める効果を期待します。

視神経と関連して、視神経のさらに先の脳の病気で眼に異常をおこす病気について説明しましょう。

視神経は、眼底からはじまり、視交叉とよばれる部分で左右で交叉をし、脳内を放射状に巡り、最後は後頭葉へ収束する経路を通っています。このため、視覚の異常はこの経路のどこかで異常が起こることでも起こってきます。

頻度として多いのが、後頭葉や側頭葉の脳梗塞による視野障害と、下垂体の脳腫瘍による視野障害です。

後頭葉や側頭葉は、視覚情報を伝達する経路となっているためそこの細胞が死ぬことで視野が欠損します。具体的には、右の脳に異常があれば左半分の視野が欠損するパターンとなります。

下垂体の脳腫瘍でも視野の異常をきたします。下垂体は、視交叉とよばれる視神経の交叉部の上に位置します。ここに腫瘍ができると視交叉を圧迫し、耳側の視野が欠損します。これは両耳側半盲という名前で有名です。

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