滲出型〜加齢黄斑変性症の種類と治療法〜
加齢黄斑変性には滲出型と萎縮型の2種類のタイプがあり、
それに応じて病状の進行や治療法が変わってきます。
二つのタイプの加齢黄斑変性
滲出型
滲出型は網膜の外側にある脈絡膜から新生血管が生じるのが原因で起こります。新生欠陥は非常に脆いため壊れて出血を起こしたり、血管壁から血液や水分が漏れ出します。
進行のスピードは一般的に早いというのが特徴で、新生血管から染み出た水分や出血によって黄斑部に障害が起き、出血などが増えていくと障害も大きくなっていきます。また中心窩まで新生血管が伸びていくと急激に視力低下が起こっていきます。
萎縮型
萎縮型は網膜の外側にある「網膜色素上皮細胞」と脈絡膜内部の「毛細管板」が萎縮することが原因で起こります。この部分が萎縮すると進行が遅いのが特徴で、いきなり中心窩に萎縮が起こって視力障害を起こすというのは多くありません。
また大半の萎縮が起こる場所の大半は中心窩から外れた所に起きるため、中心窩まで萎縮が及ばない限り視力低下の程度もそれほどひどくはなりません。また萎縮の期間は10〜20年という長い期間で起こるのが大半です。
加齢黄斑変性滲出型の原因
滲出型の加齢黄斑変性は網膜と脈絡膜の間に新生血管ができることを原因で起こります。網膜は脈絡膜に流れる毛細血管や網膜に流れる毛細血管から栄養や酸素を得て、また老廃物を排出しています。
なぜ新生血管が生じるのかよく分かっていないのですが、以下のように説明されることが多いです。
老化によって、このサイクルがの機能が低下すると網膜に栄養と酸素が不足すると同時に網膜と脈絡膜の間に老廃物がたまっていきます。そのため網膜に栄養と酸素を届け、たまった老廃物を吸収しようと脈絡膜内の毛細血管から新生血管が伸びてくるのです。
本来これは人間の自然修復機能の一部なのですが、新生血管は非常に脆いため出血しやすく、その漏れ出した血液によって黄斑部が障害され視界に影響を与えます。
また新生血管が網膜を押し上げるため、それが原因で網膜剥離を起こすこともあります。滲出型の治療においてはこの新生血管を取り除くことが目的になります。
滲出型の治療
滲出型の治療方法として大きく3つの方法があります。「レーザー光凝固」と「抗VEGF療法」「PDT(光線力学療法)」があります。
黄斑部の中心にある中心窩に新生血管が及んでいる場合、レーザー光凝固で新生欠陥を焼き払いますが、中心窩まで新生血管が及んでいるケースの場合、「抗VEGF療法」「PDT(光線力学療法)」を用いて治療します。
レーザー光凝固
レーザー光凝固は新生血管に直接レーザーを照射して焼き払います。レーザーを照射した場所は新生血管がなくなりますので、新生血管が引き起こしていたむくみや出血は起きなくなります。また新生血管から染み出た出血が吸収されて視力が回復することもあります。
ただし比較的強いエネルギーを持つレーザーを使うため、中心窩には使うことができません。またレーザーを照射した部分は新生欠陥のみならず視細胞も焼きつぶしてしまうため視野の一部に暗転ができることになります。
抗VEGF療法
中心窩に新生欠陥が及んでいる場合、
レーザー光凝固は使えないため抗VEGF療法が第一選択になります。
抗VEGF療法では新生血管の成長を促すVEGF(血管内皮細胞増殖因子)という物質を硝子体に注射します。それが網膜の新生血管へ到着して新生血管を縮小させます。新生血管がなくなることで新生血管によって低下した視力の回復も期待できる方法です。
PDT(光線力学療法)
PDT(光線力学療法)は光感受性物質という光に反応する薬品を注射してレーザーを照射する方法です。レーザー光凝固で用いられるレーザーに比べると低エネルギーのレーザーで周囲の組織をほとんど傷つけません。よって中心窩に新生血管が集まっている場合に適した治療法です。
光感受性物質にはベルテポルフィンという物質が用いられ、これを点滴注射します。
ベルテポルフィンは新生血管にだけに集まる性質があります。
そしてベルテポルフィンを含んだ新生血管にレーザーを照射すると化学反応を起こして毒性の高い活性酸素を発生させます。この活性酸素のために新生血管内部に血栓ができ血管をふさぐことで新生血管を縮小させます。
ただし治療後に視力を低下させることもありますので
視力が0.6以上ある場合は適さないと考えられています。
再発の可能性
滲出型は、網膜や脈絡膜の老化に伴って新生血管が発生することで起こります。
滲出型を患うということは黄斑部が新生血管を発生したすい土壌になっているということですが、
こうした土壌を治していく事は出来ません。
ですから一旦、加齢黄斑変性の治療を行ったとしても、また別の箇所で再発する可能性が十二分にあるのです。よって重要になるのが定期検査になります。
治療後であっても安心はせずに定期検査を受けて新生血管の発生の早期発見を行っていきましょう。
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