結膜炎とは
人間には免疫機能といって外部からの異物の侵入から身を守るシステムがあります。私たちは外部から異物や細菌が侵入すると免疫細胞が働いてそれらを撃退して体を健康に保っているのです。
【結膜炎では赤線の部分が炎症を起こす】
しかし、この免疫細胞が過剰に反応してしまって正常な細胞の働きを阻害してしまうのがアレルギーです。アレルギーの代表例は花粉症、アトピー性皮膚炎などがあります。
結膜炎とは目のアレルギーのことで、まぶたと眼球の間の組織である結膜が炎症を起し目のトラブルを引き起こす症状です。
結膜炎の種類と原因
結膜炎はその原因によって
アレルギー性結膜炎・細菌性結膜炎・ウィルス性結膜炎の3種類があります。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎とはアレルギーがもとで結膜炎になる症状です。原因(アレルゲン)として花粉やハウスダスト、食物アレルギーなどがあります。アレルゲンが目に入ってくると結膜で過剰免疫反応を起し炎症を引き起こします。
細菌性結膜炎
細菌性結膜炎とは結膜に細菌が入り込むことで炎症を起こす症状のことです。原因としてインフルエンザ菌、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、 淋菌などがあります。治療は抗生物質を点眼すれば数日で回復することがほとんどです。他人への感染は少ないです。
ウィルス性結膜炎
ウィルス性結膜炎はウィルスが元で結膜炎になる症状のことです。ウィルス性結膜炎にはエンテロウィルスやコクサッキーウィルスが原因で起こる急性出血性結膜炎とアデノウィルスで起こる流行性結膜炎があります。他人にも感染しますので注意が必要です。
結膜炎の検査
結膜炎の検査で主に行われるものは問診・視診、血液検査、塗抹染色があります。
問診・視診
問診では症状やアレルギーの有無、他の病気、服用している薬などを調べます。視診では目の充血や腫れ、涙の状態を調べます。
血液検査
採血をして血液中のIgEの量を調べてアレルゲンを特定します。IgEとは免疫細胞の一種でIgEにアレルゲンが結合するとヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されます。アレルギー患者はIgEの量が多いため過剰に免疫反応を起こしてしまうのです。
塗抹染色
塗抹(とまつ)染色とは目ヤニをとって特殊な液で染色した後に顕微鏡で拡大して観察する検査です。目ヤニに含まれている白血球の種類を確認してどのタイプの結膜炎か判定します。
結膜炎の治療
結膜炎の治療は主に点眼薬・内服薬・また免疫療法などがあります。
点眼薬・内服薬
抗アレルギー作用のある点眼薬や内服薬を服用します。花粉が原因の結膜炎などかかる時期があらかじめ分かってるときはその2週間前から抗アレルギー薬を使うと症状が緩和します。
免疫療法
免疫療法とはアレルゲンを薄めて体に投与し、徐々に体をアレルゲンに慣らしていきます。インフルエンザの予防注射のようなものと思って結構です。ただ効果がでるまで数か月かかり、さらに効果を維持するためには2年以上続けなければならないため継続して治療をうけなくてはいけません。
結膜炎の予防法
コンタクトをメガネに変える
アレルゲンのコンタクトへの付着、涙でアレルゲンを流しづらくなるなどの理由でコンタクトの装着はアレルギー性結膜炎の原因になることがあります。結膜炎の症状が出やすい方はできるだけコンタクトではなくメガネに変えましょう。無理な場合は洗浄・保存・交換を適切に行ってコンタクトを清潔に保てるようにしなければなりません。
直接目をさわらない
手にアレルゲンや細菌・ウィルスがついている場合、手で目を触ることがアレルギーや感染の原因になります。
そのため手で直接目をこすったりしないようにしなければなりません。目をこすってしまったら目を洗浄しましょう。
手を洗う
目に直接触らないようにしても無意識の間に目を触ったりこすったりすることがあります。そのため結膜炎になりやすい方は手を定期的に洗ってきれいにしておくことが効果的です。
手の平だけでなく指の間や指の先もよく洗うようにしましょう。
部屋や布団を清潔に保つ
アレルギー性結膜炎の原因のひとつにダニにホコリなどのハウスダストがあります。そのため常に部屋を清潔に保つことが重要です。とくに目と接触しやすい布団や枕は定期的に天日干しするなどしましょう。枕カバーなどを当ててこまめに洗濯することも効果的です。
乳酸菌をとる
腸には人間の免疫細胞の6〜7割が集中しているといわれています。そして腸内環境を改善すると免疫力が向上しアレルギーを改善することが知られています。乳酸菌をとることで腸内の善玉菌を増やし腸内環境を改善してくれますのでヨーグルトや発酵食品などを積極的にとるようにしましょう。サプリを飲むのも効果的です。